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おすすめ健厚情報PSA(前立腺特異抗原)

2023年2月14日

検査部 臨床検査課 川本 晋

PSAは前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen)の頭文字を取った略称で、前立腺で作られるタンパク質でセリンプロテアーゼ(セリン蛋白分解酵素)に分類されます。PSAは精液中(精漿と精子が混合された)に分泌されると、ゼリー化成分であるタンパク質を分解し、精子の運動能力を高める役割を果たします。

PSAの多くは前立腺から精漿中に分泌されますが、ごく微量が血液中に取り込まれます。これを測定することによって、前立腺に病気があるか確認することができます。

PSA値は加齢とともに上昇する傾向があり、年齢によってPSAの基準値を定める年齢階層別基準値を厚生連では採用しています。

64歳以下 3.0ng/dl以下
65~69歳 3.5ng/dl以下
70歳以上 4.0ng/dl以下

PSA値が高値を示す疾患には、前立腺がん・前立腺肥大症・前立腺炎等があります。この中で最も重要な疾患は前立腺がんです。前立腺が炎症や、がんで傷つくことによって、PSAが血液中に混入しやすくなり、PSA値が高くなります。PSA値が高ければ高いほど、前立腺がんの可能性は高くなります。

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前立腺がんを発症した場合、正常値以内でも少しづつ上昇していることが、知られており、日本泌尿器科学会では、下表のフローチャートを推奨しています。

PSA検査値が1.0ng/ml以下の場合は3年後の受診を推奨され、1.0ng/ml以上では毎年受診が推奨されています。

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健康診断でPSA値が高いと言われた場合、精密検査でエコー検査、MRI検査等を行い必要に応じて、前立腺がんを確定診断するために組織検査を行います。前立腺組織を針で採取し、がん細胞の有無や、悪性度を調べる検査で、「前立腺生検」といいます。

この検査の後は、出血・排尿困難・血尿等があります。重篤な感染症はまれですが、発熱などあれば、主治医に相談することが大切です。

厚生連健診センターでは、人間ドック基本コースを受ける男性には、PSA検査が入っています。また、一般健診を受診する方でもオプションで、検査追加することも可能です。また、地域の住民健診では、行政によって年齢制限がありますが、愛媛県内の市町では前立腺がん検診が受診可能です。

すべてのがん検診に共通して言えることですが、長い間検査を受けていない場合、進行した状態で、発見される確率が上がります。

50歳以上になったら、男性はPSA検査を定期的に受ける事をおすすめします。